about us / 2. 椛川 talks





bespoke classic
六義RIKUGHI
About Us | CLASSIC BESPOKE SHOES





rikughi`s
21st Century
Elegancy



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Bespokeは、奥深い。ハッキリ云えば、作り手の「技術」、「知識」、「考え方」で次元が違ってくる、そのことは、ズイブン経験してきたから私自身が身に沁みている、

「花粉の舞い」がヒドくなったのか、大久保はテイッシュペーパの箱を抱えて離さない、喋るのも少しつらそうだから、今度は私が少し話そう、(しかし、チョット好事家向けの話になるかもしれません、「大久保 talks」のほうが分かりやすいかもしれません)

ああ、繰り返しになるが、私は一度も花粉症などにはなったことがない、



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「エレガントな靴」





(大久保)「六義は、変わってるってよく云われますよね」

(椛川)「そうなの?大久保が奇妙だから?」

「イヤイヤ、、まあ、多分、ブログの印象からなのか、雑誌や本に書いてないような、全然、他とは違うことを言ってるっていうか、よく、クライアントの方からもいわれますし、僕はロンドンにいましたから或る部分は分かりますけど、」



「、、、ところで大久保はロンドンで修行したことが、どれぐらい今の自分に影響してる?」


「100%ですね、、確かに、技術的なことはその後、自分で試行錯誤して身につけたことが多いとしても、日本の靴とは全く違いますしね、そこが原点で、それがなかったら全く違ってましたね、





about us /  2.   椛川 talks  _f0191114_356423.jpgやっぱり、本物を見てるかどうかが重要だと思うんですよ、、




実際に、コードウエナーズに在学しているとき、ロンドンで最も老舗といわれてる靴屋に飛び込みで面接を頼みにいって、
職人からそこの社長に先ず手紙を書けと云われて、手紙を書いて、返事が来て、、
緊張しながらその老舗の社長室へ出掛けていって、何代目かの社長と話したことから『今』が始まっていますから、、

それが僕の原点で、そういう体験があるのとないのでは、今の自分は全く違うと思うんですよ、
それに、イタリアや他の国じゃなくて、ロンドンっていうのがやっぱり良かったと思います、」


「俺は、大久保のそういう『サヴァイヴァー』なところが好きだよ、、イヤ、ヒやかしてんじゃなくて、俺も、根本が体験主義だし、実地主義だから、世代的にもね、
っていうのは今よりズット『情報』も少ないし、切り開かざるを得なかったんだよ、俺はとくに、ある種の『サークル』のなかにポンと抛(ほう)り込まれたから、、そんなトコじゃ『情報』ナンテ、なんの役にも立ちゃしない、、問われるのは『人間』だよ、、、だから愉しかったんだけど、



about us /  2.   椛川 talks  _f0191114_5434552.jpgとにかく体験しなきゃ確信もできないでしょう、自分の次元を高めていくためには、その体験の幅とか奥行きをどこまで広げられるかっていうのにかかってるでしょう、多分、その体験の幅が、みんなには予想外に深いんで、スノッブに見えるんだと思う、

今は、体験じゃなくて、『情報』によって自分の次元を高めようとしてるから、生き方としてはチョっとミスってるよね、具体的な体験を持ってない人の言葉って、確証のない「想像」や「感想」であって、「真実」じゃナイ、それは「キャリア」として残って、身に付いてはいかないからね、




靴づくりも同じだと思うんだよ、採寸という『情報』だけだとフィットもしないし、好きなスタイルも出てこない、やっぱり、完全な、レベルの高い仮縫い靴があって、面と向かって、直すべき点を大久保とクライアントが話しこんでいって『体験』を重ねないとダメなんだよ、そして、愉しくもない、


六義でめざしたいのは、徹底した実証主義をどこまでやり遂げられるかだから、それが他とは違うのかもね、」



「同じ『フィッテイング』という言葉でも、実は捉え方で別物になってしまいますよね、それは、僕も感じます、
同じような意味で、さっき、ロンドンにいて良かったというのも、本物を知っているのと、知らないのでは、全然、違うんだと思うんですよ、ひとつ、ひとつが。
少しモノゴトが分かってきた最近だからこそ、それに気づきます、
昔、見聞きしたアノことは、こういうコトだったんだなあ、とか今気付くこともありますし、

例えば、『クラシック』というのを捉えようとすると、これはホントに本物を見たことがあって、その中にいたことがないとモウ無理だと思います、」



「ソウだね、
俺は、この間、納戸をひっくり返して、祖父さんが残していった靴や、自分が若いときに、今はもう無いシューメーカーでつくった靴とかを改めて、ひとつひとつ見ていったんだよ、それで、ひとつ思ったことがあるんだよ、

これは極く極く私見なんだけど、今の『クラシック』といわれている靴は、実はモダナイズされたもので、1930年代ぐらいの黄金期の「良く出来た靴」、つまり、ロペスとかウルサイ顧客に作られたいくつかの靴って、やっぱり『ヴィクトリアン』(ヴィクトリア時代)を引きずっているんだよね、それで、それは、構造も考え方も違う、

それらは、非常にエレガントですよ、言葉遊びになるけど、『クラシック』というより、『エレガント』ですよ、
意図して『エレガントな靴』という文法でつくられているんだよね、これは、見たことがない人には、分かりにくいとは思うんだけど、




about us /  2.   椛川 talks  _f0191114_746073.jpg『ビクトリアン シューズ』っていうのは、今に残っている写真だと、エドワード7世が愛用しているのがそれだね、

このエドワード7世っていうのは、英国のロイヤルファミリーのなかでも、お洒落で有名な人で、母君から、『皇太子は、ハンテイングのときも、狩猟よりは服のことを気にしている』といわれたぐらいで、まあ着道楽だった、
第一次大戦前のこの時代は、まだヨーロッパの貴族社会がしっかりしていて優雅さを追い求められて、ソサイエテイーにとってはそれが大切という時代だったからね、

ちなみに、このエドワード7世は、ホンブルグ帽とか『拝みボタン』を考案したと言われてる、『拝みボタン』は太ってたので、膨らんだ腹にはこの方がラクっていうので考えたらしい、




ものごとを考えるとき、歴史の繋がりっていうのが必ずあるから、そのもの単体の『点』じゃなくて、前の時代からの『線』として見なくちゃいけないし、また、その地点には、他の地点との繋がりや影響もあるわけだから『面』としても見なきゃいけない、


つまり、『ビクトリアン シューズ』っていうのは、貴族社会の靴で、その流れのなかで、トウーゼックや、ブールやそういう靴屋が、極く限られた顧客につくった、その『限られた靴』は、当然、連綿と続く『貴族社会』の靴という文法にのっとっているんだよ、それは、今のクラシックといわれる靴とは全然、違う、そして、そういう顧客がいなくなって、ライフスタイルも、社会構造も変わっていって無くなってしまった、

ここで、一回、クラシックな靴っていうのは、転換しているんだよ、あるいは、そういうエレガントな靴っていう流れが途絶えたんだよ、





それは、服にもいえる、今のみんなが知ってるクラシックというのは、実は『ブルジョアのクラシック』だと思う、それは、靴と同じで、第一次大戦後、或る意味でヨーロッパの貴族支配が崩れて、社会構造の主流がブルジョアに移っていって変わったからね、
やはり、それ以前とは違うんだよ、みんなが実感しているのはこれ以降なんだね、だから、本当のクラシックっていうのは、違う、良い言葉が思い浮かばないけど、まあ、 『ソサイエテイー(貴族社会)のクラシック』といえるものだね、


六義のスーツには、この『ソサイエテイーのエレガントなクラシック』というものの、幾つかのことは密かに残してある、その幾つかは、今の時代でも意味があって、エレガントなものがあるからね、




about us /  2.   椛川 talks  _f0191114_512481.jpgそれに囚われることはないんだけど、
しかし、その『ブルジョアのクラシック』以前の『エレガントなクラシック』をも知っていないと、『エレガントな靴』っていうのは生まれないんだよ、知ってるのと知らないのとでは、やっぱり根本で違うんですよ、


一本の線を引くにも、その『感覚』とかも違ってくる、なんかダサイなあ、っていうのがあるじゃない、それが全体の『線』になると、やっぱり出てくるんだよね、その違いが。
それが、モノづくりの人間的なところで、面白いところだよね、



『手』でつくりあげるビスポークっていうのは、とても人間的なものだよね、それが『贅沢』だったり、『愉しさ』を生み出すものだと思う、実際、俺も靴そのものじゃなくて、或る種、「職人や店」と出会って話し合いながらつくるということに、その愉しみがあったようにも思うしね、


そういう意味でも、最初の木型は時間がかかってメンドウかもしれないけど、納得いくまで仮縫いを繰り返して良い靴をつくるべきだと思うんだよ、



about us /  2.   椛川 talks  _f0191114_6525436.jpg俺は年寄りで、もう死んでいく時間の方が短くなっちゃったけど、その分、経験から言えることも幾分ある、やっぱり、「生活の愉しみ」っていうのは大切ですよ、
格好良すぎるかもしれないけど、「志の高い生活」を意識するっていうのは、結局、その人の人生を左右すると思う、


そういう昔のエレガントな靴や服に魅かれるっていうのも、そこに「志の高い生活」っていうのを感じるからなんだよね、それで、それは理屈っぽさや、堅苦しいものじゃなくて、「愉しん」でる、めいっぱい愉しんでて、高みに向かってる、
それが響いてきて魅かれるんだよ、


エレガントなものに意味があるとすれば、そこだと思う、分かるかな?」



(大久保)「ハッ、ハ、ハックション、、」


(椛川)「.......








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by bespokerikughi | 2009-03-31 00:45 | 2.椛川 talks
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