FITTING CONCEPT 「六義という靴屋」


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六義RIKUGHI
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「フィッテイング コンセプトのある靴屋」 


その昔、上等の注文靴を履いていることは、紳士の、第何番目かの条件でした。だから、注文靴屋は成り立っていました。

それが、60年代あたりから、需要と供給のバランスが崩れ始め、もとより、経営ノウハウのなかった注文靴屋は追い込まれていきます。

「経済」と「質」のジレンマのなかで、この時代あたりから、注文靴はバラツキが出始めます。

ロンドンの靴づくりを、例にとると、ここでは、完全な分業体制がしかれていて、有名な靴屋といえど、最初から最後まで自社のワークショップで靴を完成させるところはありません、
大概、よくて、ラストとパターン、クリッキングまでで、クローザー(アッパーを縫う=製甲)、シューメーカー(底付け)は、アウトワーカー(外注)ということになります、
ここで、問題なのは、本当に優秀なアウトワーカーはロンドンでも限られており(クチウルサイ人は、3人だけだといいます)、ここに、ロンドン中の各靴店の注文が重なっていくことです、 当然、それでは、注文はまかないきれないから、他のアウトワーカーにも発注は流れていきます、だから、同じ店に頼んでも、客によって、質が異なるというコトになります、

古の靴づくりは、今や忘れ去られ、消えようとしているのかも知れません、


「フィッテイング コンセプトのある靴屋」 



多くの店で靴を注文してみて、永年の間に私が気になっていたのは、明確な 「フィッテイング コンセプト」を持つ靴屋が、意外に少ないということでした。これは、何故か、指摘する人があまりいません。
ほとんどの店は、「メジャリング」だけで、作ろうとしているように私には思えます。

せっかく「ビスポークした」のに、足にあわない、という人がいます。チャント、採寸してもらったのに、と。しかし、残念ながら、各部所のメジャリングのみで、ラストを削っても、万全な靴はできあがりません。立体にあわせるという難しさと、歩くという行為を忘れています。これで、仮縫いも、いいかげんで、或いは、仮縫いナシとなると、合う靴ができるほうが、奇跡といえるでしょう。
靴を足にフィッテイングさせるということは、かなり具体的な作業で、魔法のようなものを、期待するものではないのです。

これは、テーラーを考えてみれば、分かりやすいと思います。優れたテーラーは、フィッテイングに対する考えを持っています。採寸のみで、スーツをつくっても、それは格好の悪い、着づらい服になるに違いありません。フィッテイングとスタイルを確認するために、スーツは、何度も仮縫いをし、中縫いもするのに、何故、靴には、「奇跡」を期待するのでしょう、

しかも、スーツは、ただ着づらいだけで終わりますが、合わない靴で歩いていると、下手をすると足の変形を招き、第一、歩きづらいと思います。

ヨク、「靴を慣らす」といわれるが、アレは、「靴が壊れ(或いは崩れ)」はじめているダケだと思います。一般に、既成の靴は、コワレル(クズレル)ようにできている。その過程で、偶然、足にフィットしたような気になるが、しばらくたつとユルクなり、本当にコワれ(クズレ)てしまう。
ただし、既成靴と注文靴は別物で、値段も違えば、構造も違う。比較するものではないと思います。


本物の注文靴は、履いて2時間ほどたって、革が体温で温まり、フィット感が一度、変る以外は、何年たっても履き心地が変らないものが、理想とされています。
チョット、考えてみれば分かりますが、わずか数ヶ月、数年で履き心地がかわってしまっては、ワザワザ、仮縫いをし、フィットさせる意味がなくなる、というものです。
履き心地が変らない、崩れないことに、良い職人は、誇りを懸けています。

できあがって、試着してみて、不都合があれば、具体的に修理に出すか、作り変えるか、或いはアキラメルしかないのです。スーツも同様ですが、靴は特に、当初からフィットしているべきモノで、「履いているうちに、慣れて、足に合って来る」という、曖昧な、マジックのような事は期待すべきことではナイと私は思います。


「明確なフィッテイング コンセプトとは」



大久保と、2年間の準備期間で話し合ったのも、この「フィッテイング コンセプト」でした。
先ず、「ストロング フィット」を、基本線としました。

巷間、タイトフィットとかコンファタブルフィットとかいわれますが、これは曖昧で、意味がないと思います。多分、採寸をもとに、それから何ミリ、逃げるかということなのでしょうが、これでは、ユルクなるか、キツクなるかだけで、快適でスタイリッシュな靴をつくるために、どうするかという、コンセプトがありません。例えば、タイトだが、コンファタブルとしたときに、はじめてフィッテイングのコンセプトが浮かびあがってくるのだと思います。

「ストロングフィット」(呼び名の是非は、ともかくとして)というのは、歩行にあわせて、フィットさせるべきポイントは、キチンとついていかせるということです。これは、言葉では、タイトフィットと似ているように思えるでしょうが、全く次元が異なります。

ポイントの割り出しがモット明確で、どこをフィットさせるかということに、意志があり、コンセプチャルです。実際、タイトフィットといわれて、造られた靴には、往々にしてポイントは緩かったりするモノがあります。
また、どこもかしこも、フィットさせれば良いかというと、それは、余裕のない靴になり、快適な履き心地とは縁遠いものとなってしまいます。

ここからは、言葉で説明するのは、正直いって適いません。実際に靴を示しながら説明するしか他ありません。ただ、基本は、カカトと甲、土踏まずをフィットさせ、足指は開放してやる、ということです。

これは、言葉でいうと簡単ですが、ひとつ、ひとつを明確にしていく作業というのは思いのほか根気と集中力がいります。立体だから、矛盾は、当然、起きてきます。

言葉で伝えられえる範囲でいうと、カカトのフィットは歩行において大事で、それも単に小さくするのではなく、運動を考えてアキレス腱をつかまえなければなりません。六義のラストは、昔、トウーゼックが試みたように、ヒネリを加えてありますが、日本人の足を考慮して、ウイーン風のバナナラストのあり方もとりいれてあります。これに、履き口が浮かないよう、足首に沿ったラインをつくったので、かなりオリジナルなものとなりました。

ラストの足裏をみれば、かなり曲面を描いていていることに驚かれるでしょう、できるだけ足をくるむ形にするために土踏まずには瘤が用意されています、、、


「メジャリング」ではなく、「フィッテイング コンセプト」というのは、靴というのを、全体で、どう捉えるかということです、その靴屋の 大げさにいえば、哲学とも言えます。この手間を惜しまない、哲学とかコダワリが、いまや、希薄になっているように思います。そして、その希薄になるやり方が、少し、ズル賢くなったような気がするのは、私がヘソ曲がりだからでしょうか。


「ハウスラスト」
 

これを、基本としてハウスラストをつくることにしました。いまでは、老舗といわれるところでも、既成のラストをつかっている処が多いのですが、独自のフィッテイング コンセプトを明確にするためには、どうしても、オリジナルのハウスラストが必要です。


「日本人にあった木型」というのがよく聞かれるが、日本人と欧米人の足は確かに違うと思う。ただ、ともすると、「幅広」というポイントのみがクローズアップされるようだけど、むしろカカトが小ぶり(薄い)だと思う。私が、ヨーロッパで注文した経験からいうと、多くの靴屋で、フィッテイングの際、カカトのフィット(ゆるさ)が気になったことからも、そう思う。


六義の店に並ぶ、オーダーサンプルを良く見て頂くと、ラストがすべて、少しズツ違うのに気づかれると思います。このハウスラストは、数十回、改良されています。

もうひとつは、フィッテイング(仮縫い)です。いかに、天才的なラストメーカーでも、採寸だけではフィットさせるラストはつくれません。これは、動かしようのない事実です。







「六義」のフルモックアップ(仮縫い用フィッテイングシューズ)| 納得がいくまで繰り返す「仮縫い」


色々、考えた末、六義では、フルモックアップ(コルク底を除いて、本番そのままの仮縫い用フィッテイングシューズ)にをつかって、フィッテイングを行う事にしました。
本縫い同様、サイドライニング、つき芯をいれて釣り込みます、ソールがコルクでつくられる以外は、ほとんど完成品に近い状態でフィッテイングチェックを行います。
コルクソールも、完成時をイメージできるように、ベベルドウエスト、ピッチドヒールを再現し、ヒール形状、ウエストの形状を確認できるようになっています。雰囲気を掴むため、コバは黒く塗られ、もちろん、両足つくられます。
フィッテイング時には、つま先部分をカットし、靴の内部での、足指の収まりを確認します。
このフィッテイングシューズは、フィッテイング後には壊され、ラストの修正を行ったあと、新たなパターンを組みなおし、革も新たに クリッキング(カット)されます。

そして、フィッテイングとスタイルの納得がいくまで仮縫いを何回でも重ねます、




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「BESPOKE SHOES 六義」
中央区銀座一丁目21番9号
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by bespokerikughi | 2008-10-02 18:29 | ■六義という「靴屋」
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