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Making 1.


bespoke classic
六義RIKUGHI
Making | CLASSIC BESPOKE SHOES




rikughi`s
21st Century
Elegancy




CLASSIC MAKING_Ⅰ___________________________


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六義は独特の靴作りの姿勢をもっています、あくまでまっとうなクラッシックシューズをつくること、一足目からフィットさせる丹念なラストメーキング、そのために納得いくまで繰り返される仮縫い、これは考えてみれば当たり前のことです、

ただ、私の経験上、この当たり前の「靴づくり」が忘れ去られようとしています、






MAKING | 「Measuring」

正しくフィットする靴をつくるための第一歩が、この「メジャリング(採寸)」です、ラストメーカーの大久保によって丹念にメジャリングを行います、

メジャリングには、六義では、実は「メジャー」ではなく、専用の「紙紐」を使います、これは、定規に現れる数値に囚われるのでなく、あくまで「実寸」を計るためです、
大久保のメジャリングはラストメーカーならではの、独特のもので、今では見ることのない専用の計測器なども登場しながら、「その人のラストを削る」ことをイメージしながら入念に足を辿っていきます、


ここで重要なのは、単に、メジャリングだけでなく、足それぞれの肉付きの検証、クライアントの方への大久保独特のインタビュー、足をマッサージーしながら、あるべき「ラスト」をイメージしながら採寸は進められていきます、






MAKING | 「Last Making」

私は、様々なシューメーカーで靴を注文し続けていました、その放浪はもう30年を越えようとしています、その旅はヨーロッパ中を網羅し、まだ日本人の顧客などいない時代にウイーンや東欧の靴など、かなりつぶさにひとつひとつ歩いて試してきました、

そうした体験や、古の靴の探求や、研究を経て、やはり思ったのは「ラスト」の大切さです、そのラストは美しくクラシックでなければなりません、そして顧客の足に沿った精緻なラストをつくるためには何回も「仮縫い」を経て、具体的に修正していかなければ適いません、これが、私なりの結論です、



大久保と出会ったとき面白いなと思ったのは、クラッシックシューズに拘って、自分なりに「フィールドリサーチ」をしていたことと、「僕はラストメーカーです」とはっきりと云ったことでした、


その頃、私はロンドンの或るシューメーカーで、「ジュエル」をテーマに自分の靴をオーダーし続けていました、何でそう思ったのかは、もう確かに覚えていません、ただ、当時、スーツにしても、素材の「質の極限」、「技術の極限」、あくまでクラッシックなエレガンスだが「イマジネーションの極限」を試したかったのだと思います、そのシューメーカに大久保はアプレンテイスト(弟子)としていました、


この頃つくったのは、フロイデルベルグの黒のボックスカーフをムーンタンニングしたグレーの濃淡のビクトリアンのプレーントウ「グレーパール」、赤いモロッコ革の、水引きを模した飾りがついているローファーで、ヒールは黒と赤のストライプにしてある「ガーネット」、ストロングブルーのオーストリッチにコテで金の松葉を散らしたボタンアップシューズ「ラピスラズリ」、特別に染めさせたシャグリーンのガルーシャでつくった舌の長いローファー「翡翠」、、、、などなど

(ただし、2足目まではイメージ通りのビクトリアンシェイプで満足するものだったが、3足目からシューメーカーの事情でアウトワーカーが変わり、当初のビクトリアンシェイプは失われた、それでも丁寧なつくりは納得できたが、5足目のホワイトデイアスキンのスワンネックのキャップドトウオクスフォードで、今度は予告なしに、再度アウトワーカーが変わり、これは、もう私のイメージする姿と質ではなかった、<第一、ホワイトデイアスキンが手に入らず、「エクリュ(オフホワイト)」になったことからも、どこか悪い雰囲気を感じた>ここら辺りが分業体制のロンドンの難しさで、サビルローを含め「イメージ」に対してモノづくりの現場が空洞化しているのは否めない、それで私はロンドンで靴を頼むことは諦め、移動することにした、)、

後で大久保に聞くと、それらの靴はコードウエナーズの学生たちにも評判になっていて、「変な日本人」がいると噂になっていたということでした、



六義の「ラスト」のあり方を大久保と話し合ったとき、先ず「フィッテイングコンセプト」を明確にすることから始めることにしました、

私の経験から言って、真剣にフィッテイングコンセプトをラストに込めているシューメーカーは少ないと思います、

ついトウシェイプやロングノーズというのだけに目がいきがちですが、それは「お化粧」みたいなもので、先ずはボデイがしっかりしていないと話になりませんし、真にスタイリッシュな靴にもなりません、


「ラストメイキング」に関しては、多くの人が誤解と、間違った「情報」を抱えています、

通常のシューメイカーは、ビスポークといっても既成のラストをもとにしているところが多く、それに、メジャリングによって寸法上の補正、修正を加えますが、それは、あくまで「寸法」としての補正でしかありません、だから、ともすれば寸法(数値)はあっていますが、履きにくい靴が出来上がることがあります、

「フィッテイング コンセプト」というのは、数値とは違う次元にあります、


つまり、「履き心地」が良い靴と、「数値」が「あっている」靴とでは考え方の次元が違うのです、仕事のレベルと手間も違います、

変な言い方(或いは真実をいうと)かもしれないですが、ラストというのは、その人にぴったりフィットした履き心地の良い「靴型」であって、決して、その人の「足型」ではありません、そして、「靴」としてバランス良く、美しくなければなりません、


ラストメイキングには多くのことが秘められています、
大久保と私は、古のシューメーカーのラスト、ロンドンをはじめ東欧のバナナラストなどのあらゆるラストを検証し、かつ私の経験から履く側からのフィッテイングの問題点を洗い出していきました、そして、それは日々改良されています、結局、それらは製作を経るにつれ、日本人の足に即し,かつ美しいラストとして変化し、改良され、当初とは異なるかなり独自なものになっていきました、





MAKING | 「Pattern Making」


意外に、細かく討議されていないものに「パターン」があります、
しかし、「パターン メイキング」の上手さ、「本物」であることは、ラストが履き心地と美しさを決定していくように、その靴を本物のクラッシックシューズにするか、まがい物にするかの大きな役目を背負っています、

東欧などで、英国のフルブローグやオクスフォードを頼むと、どこか違うような気がするのは、ラストの形状とともに、パターンの違いにあります、形はフルブローグでも、カウンターのバランスなど細かく違っているのが、結局、「クラシック」な本物になりきれないのです、

大久保も私も、クラッシックシューズの「本物」のデイテールとバランスに拘っています、親子穴ひとつも、ひとつの靴のパターンのなかで、大きさを微妙に変えることもあります、
むしろ、この「パターン」を研究して、「クラッシック」をより美しく進化させたいと思っています、パターンメイキングは大切です、その美しさを本気で研究し、拘って試行錯誤しているところは今や少ないと思えます、


六義のビスポークサンプルのなかには、伝統のクラッシックとともにエスプリの効いたデザインも用意してありますが、気をつけているのはデザインが先行しないで、クラッシックのテクストに美しく納まることです、その意味では、大久保のパターンメイキングは上手いと思います、




いかにクラッシックな美しい線を描けるかとともに、パターンメイキングにおいては、釣り込みを意識した「正確さ」が要求されます、


例えば「釣り込み」は、職人によって異なります、職人ごとにくせがあります、
例えば、釣り込む「力の強さ」にたいして、履き口のパターンが浅ければ、結果として履き口の位置は下にさがってしまいます、これは冗談でなく、ラストメイカーとシューメーカーが異なる分業体制の英国の靴にはまま見受けられます、履き口が落ちてしまっているのです、

或いは、これは、製甲、釣り込み、とも関連しますが、靴の中心が曲がった靴さえ見受けられます、


確かなバランス感覚と、クラッシックの美しさ、「正確さ」、パターンメイキングの「美しいクラッシックシューズ」を生み出すためのこれらの要素は、もっと深く研究されるべきです、






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MAKING | 「Fitting (Fitting Shoes) 」



フィッテイングは、六義の最も拘る所のひとつで、それは、「Fitting Shoes」の在り方にも現れています、
オープン以来、ハウスラストや材料が果てしなく改良され続けているように、実は「Fitting Shoes」も「改良」され続けています、

やり続けている限り、実作業のなかで改良していきたい点は出てきます、逆にいえば、実作業というリアルな時間をかけなければアイデアや次の次元へ繋がるクリエイテイブは生まれません、
そうしたことを出来る限り先入観や常識にも囚われないで、先ず、実直に試すことを大切にしています、



例えば、英国製の優れているという底材は、アトリエにはストックされていますが、いまやこれは使われていません、

確かに耐久性に優れ丈夫ではあるが、「硬すぎる」と思います、
底材のベストは、良い生地と同じようにタイトに目が詰まっていて、「柔らかく」かつ「耐久性」に優れていることで、数十回のテストでほぼ理想のものができた今は、この「有名」な底材をつかうこともなくなりました、日本の靴好きな人は、雑誌などで紹介されたこともあるこの底材を、その名で信じ込んでいる人もいて、「マーケテイング」的には「売り文句」になるのかもしれませんが、どう理屈をつけても「硬い」靴は履き心地がストレートに硬いと思います、


六義の「Fitting Shoes」は、コルク底にしてある以外は本番と同様に仕上げられます、
ここで試されるのは「数値」ではなく、実際の「履き心地」という次元での検討で、「Fitting」ということをリアルに捉えようとしています、

言葉では説明しずらいですが、いかに心地よく、日中を通して足を支える靴底であるか、歩行にあわせてしっかりと足を包む踵、甲、履き口であるか、これらは、単に足の形だけでなく、「脚」そのものの形、「歩き方」そのものでも違ってきます、
つまり、当たり前ですが、「足型」で止まっている限り、フィットする次元にはたどり着けないと思います、


ここで気がつくのは、現代日本人の足のほとんどが「外反」気味で骨が出ていることで、これは合わない「既成」をはき続けていることにもあると思います、



多くの人がストレスを感じながら靴をはいています、「靴をならす」とかほとんど意味不明の言葉には正直、呆れてしまいます、どだい靴に足を合わせるのは無理なことで、靴は足にあわせるもので、その美しさは丹念な仕事が生まれます、






MAKING | 「Last  RE-Making」


「Fitting Shoes」での「仮縫い」をへて、ラストは再び、大久保の手によって修正されます、ここからが、実は重要な仕事のステージで、真の意味で「Bespoke」の本質だといえるでしょう、


「仮縫い」を繰り返し、それに合わせてラストが何度も修正される、その「仮縫い」では、クライアントとラストメーカーの間でさまざな会話が交わされます、これこそが「ビスポーク」で、そうでなければ美しく、フィットの良い靴は生まれないと誰しもお分かりになるはずだと思います、


残念ながら多くのシューメーカーが、ここからのステージを「効率」の名の下に省こうとしています、しかし、ビスポーク「ヘビーユーザー」の私が欲しかったのは、むしろここからのステージです、




正直にいうと、初回の「仮縫い」では多くの「失敗」があります、逆にいうとこの「失敗」を事前に明らかにし、「足型」ではなく、「履き心地」という点での問題点と、修正点がクライアントとシューメイカーで話し合われ(「Bespokeされ」)なければいけません、

ここから、仕事は、「数値」とは離れた次元に入ります、

フィッテイングというのは、履き口を何ミリ削るか、踵をあと何ミリけずるかというだけでなく、その靴に足を入れ、試し歩きしたときのクライアントの感覚を含めて行われます、どこかが当たるとか、どこかがユルイだけでなく、足をいれて歩いたときに「硬く」感じたり、或いは「柔らかく」感じたり、という「感覚」です、その感覚には必ず訳があって、大久保とクライアントはそれを、抽象的な言葉をも含めて探り出していきます、


トウシェイプも、例えば六義のスペシャリテイである「アーモンドトウ」も厳密にいえば、ひとひとつの靴で変化させています、履き口の長さのバランスも、靴そのものだけでなく、日ごろ履くトラウザーズの裾幅によっても変えます、

こうした、まさしくその人だけのスタイリッシュな特別の「Bespoke shoes」をつくるためには、靴単体だけでなく、その靴を履いたときの「バランス」を捉まえる美意識が必要になってきます、

誤解を恐れずにいえば、六義で目指しているのは、「履いた時に美しく」、「履き心地の良い」靴に他ありません、


日本に帰ってきたとき思ったのは、服に「美しく」靴を合わせた人が少ないことでした、


けして、観賞用の靴をつくるつもりはありません、いかに凝ったつくりをしたとしてもそれは美しく「履きこなすための靴」です、


大久保は、私がクライアントの方の仮縫いや、仕上がった服のチェックをしているとき、しばし、作業の手を休めて、階段に腰をおろして(一階が靴のアトリエで、テーラーは地階にある、そして紅がら色に染めた階段がそれを繋いでいる)熱心に様子を見つめ、やりとりを聞いています、それが、とても大切なことだと思います、

そして、そのクライアントの方が靴も頼まれている場合は、仮縫いでスタイルが決まってくると、大久保の方から、「今度の靴は、そのスーツに合わせて、トウシェイプをシャープにしましょうか」とか「少しピッチドヒールにしましょうか、」と彼なりにスタイルを租借して「提案」をしてきます、これが大事なのだと思います、


当然ながら、私も「いや、それはやりすぎだ」とか、「今回は少し、トラウザーズの幅をせばめたので、それに履き口をあわせてくれ」とか答えます、もちろん、クライアントの方もそれに意見を出します、それに、また大久保の反論が重なります、、、これが、「Bespokeの現場」の愉しさだと思います、






MAKING | NEXT-Fitting(2nd Fitting Shoes)」


二足目のフィッテイングシューズは、修正したラストにあわせて、またゼロから全く新しく作られます、


この時点で、我々はすでに「2足の靴」をつくっていることになります、

六義のフィッテイングシューズは、コルク底を除いて、通常の使用にも耐えられるぐらいのまさしく「完成品」にしています、

私の経験上云えるのは「完全なフィッテイングシューズで仮縫いをする」シューメーカーは少ない、ということです、
大概が、踵のない「そのまま本番で使われるアッパー」をつかった「座ったまま」行われる簡易な「仮縫い」か、或いは室内で数歩歩く、これもおよそ「仕上がりがわかる」とは云えない簡易靴でのフィッテイングが多いような気がします、


これを「フィッテイング」と呼べるのかどうか、私には常々不満でした、逆に、一足目から「理想のフィッテイングを目指す」ということをシューメーカーが真剣に考えているならば、いかに天才でも、そして作る側にとってもこれでは「不安」が残るはずだと思います、


本番同様に、サイドライニングを入れ、正確なパターンを切り、正直に釣り込まれた「フィッテイングシューズ」で、クラインアントには、店内の階段を昇り降りしてもらったり、場合によっては店周辺を歩き回ってもらう、クライアントの方の「抽象的な」感想にも我々はそれを真摯に受け止め、その真意を具体的に探ろうとします、

「フィッテイング」という意図を明らかにするためには、この「完成されたフィッテイングシューズ」がどうしても必要で、ここで、クライアントの方とシューメーカーが、はじめて「完成されるべき」靴のイメージを「共有」できると思います、

この「フィッテイングシューズ」をつくるには実作業で約一ヶ月を要します、そして、必要ならば何回も繰り返されます、あきらかに、「効率」には反するでしょう、


我々は迷いながらも、まっとうなクラッシックシューズをつくれる、まっとうな「靴屋」をめざしています、この「フィッテイング」では、クライアントの方と大久保は、理想とする美しく、一生愛せる靴をつくりあげるために、真剣に「やり合う」べきです、


「ネット」で交わされる生半可な「知識」や誤った「情報」を捨てて、ストレートに自分が欲しい「一生愛せる靴」を考えて欲しいと願っています、









「BESPOKE SHOES 六義」
中央区銀座一丁目21番9号
phone 03-3563-7556 e-mail bespoke@rikughi.co.jp(appointment required 要予約)

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copyright 2008 Ryuichi Hanakawa & RikughiCO.,Ltd.

by bespokerikughi | 2008-11-27 17:45 | 1.Classic Making Ⅰ

Making / Classic details 5



bespoke classic
六義RIKUGHI
CLASSIC BESPOKE SHOES | Classic Deatails





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21st Century
Elegancy




CLASSIC DETAILS____________________________



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CLASSIC DETAILS | 「クラッシック コレスポンデントシューズ」

コレスポンド(コンビ)シューズというのは、数ある男の靴のなかでも、最も ダンデイズムを匂わせる 「一足」 といえます。

変っていて、目をひくけれども、これは、黒のオックスフォードと同様に まごうことなき、男のクラッシック シューズです。由緒正しき 靴なのです。

この靴を、ひと目 見ただけで、30年代の優雅なリゾート地、例えば ドーウ”イルの競馬場とか、白いホワイトフランネルのスーツとか、モンテクリステイ製のパナマ帽とか、、そんな贅沢なシーンが思い浮かびます。 そういう靴は、他にはないでしょう。

名だたるダンデイ達が この靴を愛用しました。フレッド・アステア、ダグラス フェアバンクス JR、スコット・フィッツジェラルド、、、、これだけでも、その由緒正しさは窺い知れます。

ダンデイ達の靴コレクションには、必ず、用意されいた贅沢な靴。  或いは、贅沢な生活を象徴する靴。

それなのに、いまや、この靴を見かけないのには、それなりの理由があります、、、、


この靴で重要なのは、カーフとのコンビにつかわれるホワイト デイアスキン(白い鹿皮)で、 これは、あくまで純白の、それも ビロードのように滑らかな上等なモノでなくてはなりません。それ以外は、残念ながら、本物とはいえません。

ところが、このホワイトデイアスキンというのが、ヤッカイで、いまや入手困難を極めるものなのです。

無イ といわれれば、欲しくなるのが男で、 ダンデイで知られる俳優のテレンス・スタンプは、最上等のホワイトデイアスキンを手にいれるのに、数年間を費やしたといいます。それも、80年代のことです。
何年待っても、思うものが手に入ればイイけれど、事情は、年々、悪化しています。 

多分、ロンドンの老舗といわれる靴屋、イヤ 世界中の注文靴屋においても いまや、コレを常備しているところは珍しいのではないでしょうか。注文しても、この純白の鹿皮のおかげで断られるケースが多いと聞きます。或いは、オフホワイトあたりでごまかすことになる。

いまや、それほど貴重なモノになってしまいました。

鹿皮そのものが、品薄になってきたこともありますが(とくに良質なものは)、とくに、ホワイト(白い)が手にはいりにくいのはそれが、本来の鹿皮の色だということがあります。(鹿皮というのは白い)
つまり、白く染められるわけではない。ホワイトデイアスキンは、鹿皮そのものが良質で、傷がないもの、汚れがないものでなければならないのです。他の色と違って、染め加工でごまかせず、その白さゆえ、汚れやすく、扱いにくい。鹿皮は、本来 耐久性に優れたものですが、柔らかいので、作り方にも多少のコツがいります。靴屋にとっては、ヤッカイな代物というわけです。

加えて、世界的なドレスダウン化と、男の贅沢な生活スタイルというのが、変ってしまった。あれほど、ダンデイ達がこぞって愛した靴は、頼む人も少なくなりました。悲しいコトです。

その結果、いまや この靴の あるべき正しいスタイル - パターン、デザイン -を知る靴職人も少なくなりました。(これは 残念ながら 男の服を知りつくしているテーラーが 少なくなったのと同様です)、、、これまでも、需要と供給のバランスで、 男に必要だった多くのエレガントなものを、私たちは失くしてしまいました。、、、
これは、本来 ボート競技から生まれた 「スポーツ」シューズなので、単に、普通のフルブローグをコンビに置き換えれば良いというものではありませn。

本物のコレスポンドをつくるには、おおげさにいえば、男っぽい優雅さを理解する美意識が必要だと思います。同様に、これを 履く男にも 、、、、




アトリエでは、いまや面倒で、あまりやる人もいなくなった クラッシックなパターンとラストを採用しています。 ウイングの形、スワンネック、スワンネックの頂点からつながる履き口のバンド、パーフォレーションは、あえて最も正統的でクラッシックなものを選んでいます、

そして、ラストは、かなりアナトミーな、立体的で、複雑な曲線を描く男っぽいクラッシックラスト、


一番気を使うのは、それぞれのバランスと分量です。優雅で、かつ、あくまで男っぽく仕上げること、つまり、男の服に、素直になじむこと。(良いスーツと いっしょで 優れたモノは いかに複雑で、凝った仕事をしていても 目に素直に映るものです。 実は、これが、一番難しく、 技術と、一歩上の健全な美意識を必要とします。)

 
この靴には、 エレガントなリゾートスタイルが、よく似合います。 トープ色のギャバジンで仕立てたクラッシックな ダブルブレスッテッドスーツ、 或いは、シンプルに、サージの紺のブレザーに ホワイトトラウザーズ、、、、、これほど、男の洒落心を刺激してくれる靴もめずらしいと思います。






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CLASSIC DETAILS | 「クラッシック コンビネーション シューズ」

コレスポンデントシューズは白いデイアスキンと決まっていますが、それ以外にも、異なる色、異なる素材をあわせた「コンビネーション シューズ」も、ときに趣き深いものです、

とくに、カーフとエキゾチックを合わせたものは、控えめな贅沢感もみせて、エキゾチックそのものに抵抗がある場合にも洒落て見せてくれます、凝った表情はビスポークらしい拘りのある一足になると思います、

六義でも、そうしたちょっとビスポークの愉しさを見せるオリジナルデザインを幾つか用意しています、ただし、あくまでクラッシックな美しさを守りながら、、、

写真は、「六義 サドルシューズ」です、少し凝っているのは、通常のものと違ってサドル部分をインサイドにして、TWO-ONE(ツーワン)と呼ばれる穴飾りを配したところで、内羽の切り替えしも、ウイングを描くようにダブルステッチで縫われています、

開店以来、人気のあるスタイルで、いくつか細部をモデルチェンジしたバージョン違いもつくりました、

このサンプルでは、リザードをサドル部分に使っています、エキゾチックとカーフの組み合わせは少し贅沢感もみせて魅力的だと思います、例えば、シックにするなら黒のカーフに黒のリザード、デイアスキンとのコンビネーションも上品です、想像力を効かせたオーダーもビスポークの愉しみのひとつです、




「BESPOKE SHOES 六義」
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by bespokerikughi | 2008-11-11 19:25 | 5.Classic Details Ⅴ

100年素材 / 琥珀のコードバン


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Making | CLASSIC BESPOKE SHOES




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Art&ClassiC

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100年素材 | 「琥珀のコードバン」


私の経験では、コードバンのビスポークシューズというのはヨーロッパではあまりポピュラーとは云えないように思います、やはりエレガントなタウンシューズが主流だからでしょうか、

コードバンの靴は、エレガントというよりは、確かにドレスダウンした印象を残します、しかしこれは魔力を秘めた素材ではあります、


「琥珀のコードバン」



ご存知のように、カーフとコードバンは全く「別物」です、コードバンは、繊維が縦に綿密に「単層構造」になっているため、永年の愛用でもヒビが入らず、しなやかさを保ち、傷つきにくく、そして、そのしっとりした表情は磨きこむにつれ美しい古色をみせはじめます、つまり、履けば履くほど美しさが増す、靴好きにとっては有難い(?)素材なのです、


そして好事家たちが、コードバンを愛する最大の理由は、エイジングするほどに深みを見せるこの「革の表情」でしょう、これはボックスカーフなど他の革にはない唯一無二の愛おしさを持っています、これを何と表現すれば良いのか、、、



旅が多かった私も、それに魅せられたひとりです、5~6足を誂え、一時は日中はコードバンのみを履くという「試み」をしたことさえあります、ただ、真夏には向きません、良いコードバンは肉厚で、一種の保温効果があります、

そして、この農耕馬の臀部のみでつくられるコードバンは、アメリカと日本にしかそのタンナーは存在しません、


「琥珀のコードバン」




このコードバンも他の素材同様、やはり近年は、なかなか質の良いものが見当たらなくなりました、
そこで、私は、さんざ調査した結果、日本で自分の理想のコードバンを作ってもらうことにしました、日本のタンナーは潜在的に優秀です、これを放っておく手はありません、


ただ、やはり時間がかかりました、ただでさえコードバンのなめしには、手早くできるクローム仕上げは適わず、何ヶ月も要する昔ながらのタンニンでなめすしか方法がありません、加えて私の強い拘りがあります、

とくに、私の好みは「ウイスキー コードバン」と呼ばれる独特の色合いのものです、その理想の色合いと質を探り、一年ががりでなめされたこのウイスキーコードバンは質感と云い申し分のないものに仕上がりました、


「琥珀のコードバン」




タフな性格から、硬いと思いがちなコードバンですが、実は柔らかく、しっとりした質感を持っています、ですから、この素材こそピッタリとフィットした美しいビスポークに仕上げるべきだと思っています、

好みでしょうが、この素材に既成のオブリックはかわいそうな気がします、



*他に、定番色の黒とチョコレートブラウンも揃えています、












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by bespokerikughi | 2008-11-07 20:19 | 2. 「琥珀のコードバン」

Making / Classic details 4



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CLASSIC BESPOKE SHOES | Classic Deatails





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CLASSIC DETAILS____________________________



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CLASSIC DETAILS | 「ステッチは書の如く」 

ビスポークシューズのステッチは、より細かく美しくということと共に、一筆書きのように、どこかで止まることなく美しく連続していくことに職人は神経を使います、

例えば、スワンネックを描くステッチは、そのまま踵を一周し、もうひとつのスワンネックへと続く、一息に美しいラインをぶれることなく描く、細かいことのようですが、このステッチへの心遣いひとつで、シンプルなオクスフォードシューズさえ表情が違ってきます、

靴のステッチのひとつに指をあてて、その線を辿ってみて下さい、それが、どこかで止まることなく、ぶれることもなく、もう一方の端へと美しいラインを描いていたら、それは丁寧な心遣いのある靴屋です、










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CLASSIC DETAILS | 「エキゾチック 1930年代ビンテージクロコダイル」

爬虫類や、カーフ以外の革をつかった靴を「エキゾチック」と靴屋は呼んでいます、カーフにはない質感は、選び方次第では、とてもエレガントでまさに「エキゾチック」な表情を与えてくれます、

その「エキゾッチック」のトップに君臨するのは、やはりクロコダイルでしょう、
ビスポークのクロコダイル シューズは、やはり好事家の垂涎の的です、その魅力は、一言で言うならクラッシックな贅沢感といえます、数あるエキゾチックのなかでも、この贅沢感でクロコダイルに勝るものはありません、正直いって私も、クロコダイルだけが持つその贅沢感には抗えません、魅力をもっている靴だと思います、


ただ、「本物」のクラッシックなクロコダイルのビスポークシューズは、その作り方からして贅沢です、


六義では、クロコダイルの靴一足をつくるのに、大きさにもよりますが3枚ぐらいのクロコダイルを使います、これは、その不定形をした形から最上の部分を選んでいくと云う事もありますが、班を揃えて美しく仕上げることに専念するためです、


この班を揃えるために、どの部分を、靴のどの箇所に使うかを、クロコダイルとにらめっこしながら、事前にプランを練っていきます、安いものではありませんから失敗は許されません、クロコダイルをクリッキング(裁断)するときには、やはり緊張します、


そうしたクロコダイルも、質の差があり、極上のものを常に探すわけですが、ここでご紹介するのは、珍しい1930年代のビンテージのクロコダイルスキンです、テーラーと同様に、常に最上の質のある革を探していくときに、良質なビンテージの革に幸いにも出会うことがあります、(しかし残念ながら、そうめったにはありません、)

これは、1930年代の英国のもので、なめし方も何か今とは違います、定かではありませんが、少しオイルを仕込んであるような気がします、質も少し肉厚で、表情に豊かさがあります(ここが大切です)、色もリッチなブラウンです、ビスポークシューズの黄金期を彷彿とさせます、




好みを言わせてもらえれば、極上のクロコダイルではクラッシックな靴を作るべきです、たとえて云うなら、最新のフェラーリよりは、古のブガッテイの美しさ、そこには先鋭とクラッシックが共存しています、

極上のクロコダイルでつくられた美しいクラッシックビスポークシューズ、魅力です、

それゆえに、六義では、黒と茶のバリエーションのみクロコダイルを扱っています、それが一番、この魅惑的な素材を生かすと思います、












「BESPOKE SHOES 六義」
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by bespokerikughi | 2008-11-06 16:22 | 4.Classic Details Ⅳ