<   2009年 05月 ( 8 )   > この月の画像一覧

Style | BLIND BROGUE "R"



bespoke classic
六義RIKUGHI
Classic Bespoke Shoes | Style





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21st Century
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六義RIKUGHI
STYLE | Blind Brogue "R"
designed by Ryuichi Hanakawa copyright 2005 all rights reserved



ロスアンジェルスからカンクーンへ飛び、カンクーンから船に揺られてイスラ・ムヘーレス島へ巨大なロブスターを食らい、空と地平線と鮫を見に行く、、、

イスラ・ムヘーレスは、スペイン語で「女ヶ島」という意味で、それは有難かったが、
なにせ、まだ東京からメキシコシテイへは直行便はなく、ロスアンジェルス経由で行くと乗り継ぎを合わせ片道ほぼ一日がかりという時代だった、

この「ブラインド ブローグ」は、その旅の移動時間にデザインしたものだ、

「女ヶ島」までには、まだタップリ時間がある、


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ロスアンジェルスの空港ラウンジのサンドウイッチが乾ききっていて、紅茶もテイーバッグで、ポットも用意されていないことにウンザリしたせいで、
私は「ヒネった」デザインを描くことに決めた、




CLASSIC、、、but Twisted、、、クラッシックだけど、少し「ヒネっ」てある、

この「ヒネリ」がその人らしさで、いかにも好事家好み、ただ、その匙加減が難しい、、





想いついたのは「チゼルトウ」だった、
ご存知のように私はアーモンドトウを最も愛する日本人だが、「女ヶ島まではタップリ時間もある」、挑戦してみよう、


まずもって私が想うそれは、今のパリやイタリアのものとは違う、もっと古のもので、といってトゥーゼックやアンソニー・クレバリーのそれとも違う、

それは、一種の美化された記憶といえるかもしれない、それが実際にあったかどうか、祖父の残したトゥーゼックやデイマウロも確かめたが、そこにはなかった、





私の想い描くのは、スクエア気味のトウシェイプだけど、アーモンドトウのように正面から見ると左右非対称の膨らみをもった豊かなもので、しかしサイドはシャープに削り取られている、

そして、あくまでクラシックな少し細身のプロポーション、、、

そう、ゴーギャンが愛した豊饒と野生を併せ持つ南の島の女のように、、、


「ブラインド ブローグ」自体が好事家好みだが、これは、さらにアイレットとステッチにひと工夫を凝らしている、しかし無用に凝りすぎぬよう、シャープな印象と独特なトゥシェイプを生かすよう、「サジ加減」に腐心したつもりだ、


色は、「女ヶ島」に渡る深い海の「群青」、

大久保は、あえてヌード色のボックスカーフを群青に染め、さらにそれを色抜きして表情を与えている、








「BESPOKE SHOES 六義」
中央区銀座一丁目21番9号
phone 03-3563-7556 e-mail bespoke@rikughi.co.jp(appointment required 完全予約制)

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by bespokerikughi | 2009-05-31 00:54 | 4.BLIND BROGUE "R"

Style | CLASSIC FULL BROGUE DARBY with Almond Toe




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六義RIKUGHI
STYLE | CLASSIC Full Brogue Darby with Almond Toe



同じ、フルブローグでもクラシックなダービー、外羽根になると少し「ミステリアス」な表情がどこか漂ってくる、

特にアトリエでは、フルブローグダービーのパーフォレーションには、古代的なハイランドや、ケルトの匂いがする独特の文様を刻むことにしているので、なおさらそう思うのかもしれない、


私のフルブローグ ダービーは、刺青のようにパーフォレーションが靴全体を覆っている、
色も、これぐらいの「ヌードベージュ」の薄いもので仕立ててあって、それが磨き込むうちに、ビーワックスをたっぷり滲みこませ艶を放ち、所々、飴色に変わっていくのが好ましいと思っている、クラシックシューズの魔力は年を重ねた美しさにあり、そこからが本当の「始まり」だ、

ソイツを冬なら高原の草花の色のツイードのスーツや、春から夏にはトープギャバジンに合わせて、街を闊歩するのが私は大好きだ、


この「フルブローグダービー」は、少し年季が入ったが如く、大久保が染め上げたもので(靴紐もそれにふさわしくエイジングを見せて染めてある)、パーフォレーションのところだけ濃い色を周到に注(さ)している、 



「CLASSIC Full Brogue Darby with Almond Toe」




大久保も私も、古の英国のクラシックシューズを愛していて、その「パターン」については独自の研究をしている、

「パターン」というのは、CLASSIC MAKINGの項にも記したが、ラストのあり方とともに靴の仕立ての要となるもので、立体的なラストに矛盾なくのせていくという、テーラリングでいえば、いわば立体裁断に近いものである、ただそれだけでなく、美しいパターンを描くことが問われるのは云うまでもない、



実際、同じフルブローグでもシューメーカー、ラストメーカーによってパターンは異なりその「小さな違い」が雰囲気を違えたものにする、

その「雰囲気」というのは、もっといえばフルブローグという「デザイン」なのか、本物のクラッシックな「フルブローク」なのかという違いだと私は思う、


どうしても私はここに拘りがあり、それだけに、六義のクラシックシューズのパターンは、今に伝えられたものというよりは、祖父が残した往年の黄金期の靴や、かなり古へ遡って、徹底して探り洗い出した「研究」を背景としている、この「研究」は実に愉しいが、多分、永遠に続いていくものだと思う、










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by bespokerikughi | 2009-05-29 00:37 | 3.Full Brogue Darby

Style | CLASSIC FULL BROGUE with Almond Toe




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六義RIKUGHI
STYLE | CLASSIC Full Brogue with Almond Toe



完璧なフルブローグが欲しかった、
それも、文句がつけられないほど「クラシック」な本物が、、

フルブローグは「イングリッシュ ドレープ」のクラシックスーツに似ている、
似た「ような」ものはあるけれど、本質のある本物は見つけ難い、

経験から云うと、地球上に存在し難くなりつつあるのかもしれない、何故ならば、時代とともに「美意識」みたいなものが、フニャフニャし始めたからだ、「あれでも良い」、「これも良いかも」と言う風に、堅牢で少し頑ななはずの美意識が崩れていく、しかし、本物は硬く結晶した気概に固執して、それに忠実でなければ生み出せないような気がする、


古そのままのパーフォレーション、ウイングの美しいバランス、それぞれの部分で穴の大きさ変える拘り、当然シームレスの踵、、、表情豊かに立体的で、そしてスッキリと美しく伸びるラスト、、、

そして、これも、いやこれこそ、単調なラウンドではなく表情のあるアーモンドトウが望ましい、

そして、クラシックシューズを追い求めていくと、どうしてもラストに突き当たる、フィッテイングだけでなく、ラストの美しい「クラシックな在り方」というのが、いまや消えようとしている、

私が理想とするのは、1930年代の英国の少し細身のラストで、こればかりは、他の都市のものは「違う」と思う、それを、随分、探し求めたが、結局そんなものは今、残っているはずもなかった、



夢に描くものは、ともすれば自分の「理想」を映し、実際には現実として存在していなかったり、事実を示されて失望と焦燥を覚えたりもする、



しかし、私はどこかで見た覚えがあるのだ、、、たしかに私の抱いているイメージそのものも、実際とは違うのかもしれない、当時のラストメーカーによっても違うはずだ、それでも、私の理想のクラシックラストは、夢のなかで美しいラインを結ぶ、結局、それは自分たちで果てのない試行錯誤を繰り返さなければならなかった、










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by bespokerikughi | 2009-05-28 10:38 | 2.Full Brogue

Style | CLASSIC 3eyelet DARBY with Almond Toe





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六義RIKUGHI
STYLE | CLASSIC 3eyelet DARBY with Almond Toe



3アイレットの角度の開いたダービーは、クラシックダービーのなかでもエレガンスを最も感じさせるものです、

フルブローグ ダービーも確かに捨て難い、クラシックなそれはエイジングを重ねると趣深いと思います、

しかし、3アイレットのダービーは、飾りを排したもっと潔いエレガントさがあって、男の熟成度とか、何もかもを苦く経験した果ての「悟り」に似た粋さを感じさせます、そこに、私は魅かれるのだと思います、


このダービーの魅力は、開いた外羽根の角度と、すっきりと伸びた何の飾りもないフロントにあり、そしてこの、高潔な美しさにはやはり優美に曲線を描く「アーモンドトウ」がよく似合います、

あえて飾りを否定したフロントには、アーモンドトウの表情が必要だともいえるし、このダービーはアーモンドトウの美しさを味わうには最もふさわしいものだといえるのかもしれません、

これだけは、スクウエアトウやイタリア、パリ風はヤボッたく思えます、古の英国の優美なスタイルにアーモンドトウを潜ませるべきです、ダービーでありながら、エレガントなタウンシューズとして愛用さるべき、洗練された大人のクラシックシューズだと思います、







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by bespokerikughi | 2009-05-24 12:55 | 1.3eyelet Darby

100年素材 / 1930年代、ビンテージ クロコダイル



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Making | CLASSIC BESPOKE SHOES




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100年素材
「エキゾチック 1930年代ビンテージクロコダイル」


爬虫類など、カーフ以外の皮をつかった靴を「エキゾチック」と靴屋は呼んでいます、カーフにはない質感は、選び方次第では、とてもエレガントでまさに「エキゾチック」な表情を与えてくれます、

その「エキゾッチック」のトップに君臨するのは、やはりクロコダイルでしょう、
ビスポークのクロコダイル シューズは、やはり好事家の垂涎の的です、その魅力は、一言で言うならクラッシックな贅沢感といえます、数あるエキゾチックのなかでも、この贅沢感でクロコダイルに勝るものはありません、正直いって私も、クロコダイルだけが持つその贅沢感には抗えません、魅力をもっている靴だと思います、




ただ、「本物」のクラッシックなクロコダイルのビスポークシューズは、その作り方からして贅沢です、


六義では、クロコダイルの靴一足をつくるのに、大きさにもよりますが3枚ぐらいのクロコダイルを使います、これは、その不定形をした形から最上の部分を選んでいくと云う事もありますが、班を揃えて美しく仕上げることに専念するためです、


この班を揃えるために、どの部分を、靴のどの箇所に使うかを、クロコダイルとにらめっこしながら、事前にプランを練っていきます、安いものではありませんから失敗は許されません、クロコダイルをクリッキング(裁断)するときには、やはり緊張します、




そうしたクロコダイルにも、質の差があり、極上のものを常に探し求めているわけですが、時代とともにやはり難しくなっていきます、

ここでご紹介するのは、珍しい1930年代のビンテージのクロコダイルスキンです、テーラーと同様に、常に最上の質の革を探していくと、良質なビンテージの革に幸いにも出会うことがあります、(しかし残念ながら、そうめったにはありません、)

これは、1930年代の英国のもので、ロンドンの外れに眠っていたものです、これを見つけられたのはラッキーでした、ビンテージのクロコダイルが見つかることは、そうあることではありません、

昔のものは、その質とともに、なめし方も何か今とは違っています、定かではありませんが、少しオイルを仕込んであるような気がします、質も少し肉厚で、表情に豊かさがあります(ここが大切です)、色もリッチなブラウンです、ビスポークシューズの黄金期を彷彿とさせます、




好みを言わせてもらえれば、極上のクロコダイルではクラッシックな靴を作るべきです、たとえて云うなら、最新のフェラーリよりは、古のブガッテイの美しさ、そこには先鋭とクラッシックが共存しています、


極上のクロコダイルでつくられた美しいクラッシックビスポークシューズは魅力です、

それも、「チゼル気味のスクエアトウ」ではなく、優美なアーモンドトウが好みです、
スクエア トウも個性的に映って魅かれるのは分かるのですが、私は、クロコダイルでは「やりすぎな」気がします、
クロコダイルの個性を生かして、優美なものに仕立てるにはシンプルなエレガンスがやはりふさわしいと思います、



六義では、黒と茶のバリエーションのみクロコダイルを扱っています(あえてバーガンデイなどは扱いません)、それが一番、この魅惑的な素材を生かすと思います、




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by bespokerikughi | 2009-05-24 12:46 | 4.「ビンテージ クロコダイル」

100年素材 / 煤竹のデイアスキン



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100年素材 | 「煤竹のデイアスキン」


デイアスキン(鹿革)は好みの素材で、拘りがあります、ビロードのように滑らかで、柔らかいデイアスキンはビスポークシューズのなかでも特異な存在です、何とも云えない上品な贅沢感を醸し出す素材だと思います、

シンプルなローファーや、3アイレットダービー、或いはチャッカーブーツに仕立てても趣き深く、カーフとは異なるしっとりした表情を見せます、この「しっとり」とした、肌理(きめ)細やかなビロードなような表情が、カーフのリバーススエードなどとも違うところで、一足つくるとだんだんとその美しさにハマっていきます、


しかし、この鹿革は、様々な地球環境の問題もあり、いまやなかなか良質なものは手にはいりにくくなりました、ここでご紹介する「煤竹色」のデイアスキンは思い余って特注したものです、(写真は、まだ仕上げのために毛を起こしてない状態のものです、ここから靴に仕立てて、最後に丁寧に毛をおこして、スエード状にしていきます、)

デイアスキンの魅力のひとつに柔らかな色合いがあります、アトリエには特注した色がいくつか揃えられていますが、そのそれぞれが古の日本の伝統の色に染め上げられています、

これは、柔らか味のある濃い茶、「煤竹」とよばれる色で、囲炉裏などで鍋を吊り下げている竹が長年の間に煤をかぶって現れる色を再現しています、色を決めるときは、その色の美しさとともに、スーツや服に合わせたときの相性も考えますが、この煤竹は、その柔らかい色目で応用範囲が広く、何に合わせても上品に映ると思います、とくにグレー系、グレーフラノなどには品良く寄り添ってくれると思います、しかも、繊細にみえて鹿革は意外に丈夫な素材でもあります、




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by bespokerikughi | 2009-05-24 12:27 | 3.「煤竹のデイアスキン」

Column/ That "Last" Making 「7年目の真実、、」




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「The LAST Making」



六義の靴づくりはおかげさまで、8年目を迎えようとしています、準備期間の2年間を足せば10年余りを「やっと」経ようとしていることになります、

その10年を経て「やっと」、多分、かなりウルさい愛好家である私も「履いてみたい」と思う靴がなんとか出来るようになったのではないかと思います、モノづくりにおいては最初の黄金期といえるものに手がとどきそうな気もします、

それぞれのシューメーカーで特徴があるように、我がアトリエの特徴をあげるならば、それは、迷わず「ラスト(木型)メイキング」だといえます、


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私は、様々なシューメーカーで靴を注文し続けてきましたが、やはり大切なのはラストメイキングだと結論せざるを得ません、
六義を開くときに思ったのも、東京で真摯なラストメイキングをする靴屋が痛切に欲しいということでした、私は美しいクラシックシューズが好みです、愛しているといっても良いと思います、それも、ただ、フィッテイングが良いだけでなく、やはりダサい靴はイヤなのです、美しく、かつフィッテイングの素晴らしい靴が欲しいのです、
それは、やはりラストで決まってしまうと云わざるをえません、「東京で」というよりは、とにか「ラストメイキング」を徹底して探るシューメーカーが存在する、というのが私の「夢」だったのかもしれません、
しかし、これは、一言ですませられるほど簡単なものではなく、やはり思っている以上の手間と時間がかかるものでした、


何故ならば、「真摯」なラストメイキングというのは、ラストメーカーだけでは適わないことだからです、クライアントの足というものがあって初めて「成立する」ものだからです、

「真摯なラスト」というのは、ラストメーカーとクライアントが「実のある仮縫い」という作業を繰り返さなければ生まれません、


ラストは立体ですから、どこまでそれを追い詰めれば「正解」かということに、迷いました、それは、様々な予測しないケースをも含めて試行錯誤の連続でもありました、

その多くは、ここで文字にしても誤解を多く含むもので、その正確な真実は伝わりにくいかとは思いますが、、、

例えば、細い足に細い靴をつくってしまっては歩くと「痛い」靴になってしまいます、つい、職人もクライアントもそこを忘れて、細くあることだけに目がいき勝ちです、
しかし、細い足は、肉付きも薄い場合が多く、骨が「直に」当たってしまうのです、極端な話、採寸どおりを信じてつくると、歩行時に、或る箇所では擦れて「痛い」という現象が起こりがちです、あくまで「良い靴型」として木型を考えていかないといけません、

或いは、1mmの余裕がある箇所を、その部分だけ1mm削れば良いかというと、そこを1mm削ったことによって当然他の箇所に思わぬテンションをかけてしまい、かえって矛盾が広がる場合もあります、極端な話をすれば、その部分の1mmを削るよりは、別の部分に1mmを足してやった方が問題解決になる場合もあります、、、ことほど左様に、ラストメイキングの奥深さを悟る7年間でした、


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そして、「真摯なラスト」つくるための、大切な課題が、
どういう「仮縫い」を行うかということです、私の経験から、これこそが大事だと云う思いがありました、ヨーロッパでも、仮縫いをするシューメーカーもいますが、簡易な仮縫い靴で、時間も短いものです、

そのための「完成度の高い」仮縫い靴については、このブログでも幾度も述べているので、「仮縫い」そのものについて触れることにしましょう、


我々は、この「仮縫い」から、クライアントの方の印象も含めて、修正点をできるだけはっきりと引き出したいと思っています、

ヨーロッパでの私の仮縫いの経験から云うと、先ず単純に、あっさりし過ぎているという印象が拭えませんでした、具体的にいえば時間が短い、回数が少ないということです、これは、単純な話ですが実は本質的な問題を含んでいます、


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革靴は、革でできていますから、本来のフィッテイングというのは、履いて20~30分たって革が体温で温まった状態のときを云います、ビスポークシューズはこのときのフィッテイングが、生涯続くようにしっかりと造ることに職人は魂をかけています、(既製品は、段々、壊れてユルくなっていきます、)

これは、確かに変わります、足入れのときの固い感じとは違ってくるのです、

つまり、仮縫い靴を履いてもらって、すぐの印象を聞いても厳密には意味はないということになります、ヨーロッパの仮縫いが、履くや否や、「どうだ」と聞かれて、またたく間に終わってしまうのには、注文主としての私は違和感を感じていました、

そして、はじめてビスポークを体験するクライアントには、「どうだ」と聞かれてもはっきり「答えられない」ないのです、フィッテイングがベストなのかどうかが分からないといっても良いでしょう、これは、今まで「ビスポークの靴を履いたことがない」のだから当たり前のことです、私もそうでした、

そのためには、「仮縫い靴」に慣れて、ゆっくりリラックスしてラストメーカーと質疑を繰り返し、靴をチェックしてという落ち着いたキャッチボールが必要なことは云うまでもありません、
そして、一回で終わるのではなく、お互い納得できるまで仮縫いを重ねるのだという「安心感」も必要です、

「仮縫いのやり方」というのは、こういうことです、つまり、いかに、クライアントに「理解しやすい」努力をするかということです、これは、多くのシューメーカーがやはり一方的なような気がして、まだまだ開発、努力の余地がある分野だと思います、


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はじめての方も、「仮縫い」を重ねるほどに、慣れていきます、この「仮縫い」に慣れる時間が、私は必要だと思います、そうでなければお互いが納得する美しく、履き心地の良い靴は生まれないでしょう、



とくに、今まで既製靴しか履いてこなかった方は、立体的に足裏にあわせた靴底は、既製靴の平面的な靴底に比べて違和感を感じるはずです、六義の場合は、とくにかなり立体性をもっていますから、先ず土踏まずを押されるような感触に驚かれると思います、


仮縫い靴に足をいれてもらうと、その印象を聞きながらも、店の階段を昇り降りしてもらったり、店内をグルグル歩いてもらったりします、

これを我々は「準備運動」と呼んでいます、先ほど述べたように、革が温まるのを待つのと、「既製靴」とは違うビスポークの感触に慣れてもらうために、この「準備運動」が必要なのです、

この間に、色々なことを話ながら、もちろん、「歩く状態」を見ながら様々なチェックをしていきます、この「歩く状態」というのが重要で、私が座ったまま仮縫いをするシューメーカーを信じないのは、靴はクライアントの歩き方、そのときの重心のかけ方で、ラストの形状も変える必要があるからです、このことを、はっきり知っているのはラストメーカーです、
私は、スーツの仮縫いのときには必ず、店の階段を昇ってもらって、階段の上からクライアントの方の足の出方をチェックします、これはトラウザーズの重心の取り方を計るわけですが、靴の場合はもっと大切なポイントです、



靴の「仮縫い」については、大久保が主導しますが、時折、私も混ざって、クライアントの方と色々な話をするのは、「仮縫い」そのものを愉しく、リラックスしたものにしたいと同時に、「公平な」仮縫いをしたいという思いがあるからです、
これは、テーラー部門でも同じですが、六義はチームで「仮縫い」に臨みます、一対一では、問題がクリアにならないままになってしまう場合もあると思うのです、若い私はシューメーカーに云いずらかったり、気がつかなかったりという経験をイヤというほどしました、シューメーカーによっては、それに気がつく人と、つかない人がいます、

多くのシューメーカーの問題点は、自身がビスポークシューズの「クライアント」になった経験がない、コトにあると私は思います、

私が入ることで、それを代弁したり、噛み砕いたり、或いは問題点をクリアにしたいのです、



ラストメイキングと合わせて、この「仮縫い」の仕方については、この5年間で多くを学びました、そこには、どういう尋ね方をすれば、クライアントがフィッテイングの感触を答えやすいか、ビスポーク初体験のクライアントをどうリラックスさせるかというリアルで細々した点も含めて「改良」すべき点が多々ありました、


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最後に「スタイル」の話をしておきましょう、この5年間で創り上げた靴は、やはり六義のスペシャリテである「アーモンドトウ」のクラシックシューズが多かったように思います、

私自身も、歳を経るごとに、美しいアーモンドトウのクラシックシューズが愛しくなっています、結局、すべてを明らかにしていくと、歩きやすく、良くフィットした靴を選び、いっしょに歳を重ねていってくれるクラシックシューズに突き当たるのだと実感します、







「BESPOKE SHOES 六義」
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by bespokerikughi | 2009-05-02 14:19 | 3.The LAST Making

100年素材  エキゾチックスェード Ⅰ 「エレファント」



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ついに、最上といえる「エレファント」を手にいれました、



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世紀を越えて愛せる「100年素材」を探っていくなかで、再発見したのが、「エキゾチック スウェード(私が勝手にそう読んでいるだけで、こういう言葉はない、でも何となくイメージしやすいからそう呼ぼう、 copyright 2009 momotosedo R.H.)です、 

「エキゾチック」といえば、クロコやリザード、オーストリッチを思い浮かべますが、「スウェード」に似た質感のエキゾチックがあります、
検証してみると、それらは、雨や汚れに強く、ブラッシュイングを丹念に行うだけで味わい深い独特の表情を半永久的に保つことが分かります、

むしろ、リバースカーフなどよりは数倍、頑丈で、或る意味でマインド的にカジュアルダウンした現代にはよりふさわしい表情をもっていると思います、永く愛せる素材です、

そして、これらは「布」と極めて相性が良い、
クラッシックスーツ、トラウザーズは「布」で出来ています、私は、永い間それぞれのスーツに合う「靴」を探し求めてさ迷っていますが、突き詰めていくと、それは靴の「デザイン」ではなく「質感」に決め手があることに辿り着きます、ボックスカーフで仕上げられた「オックスフォード」は確かに美しい、しかしそれだけではない「未知」の「愉しみ」がここにあります、



「エレファント」は、昔と違ってあるにはあるが、どうも納得できるものがありません、大久保はシューメーカーという立場から選び、私は古の「質」の記憶(ここが難しいところで、私はどうしても自分が生きてきたなかで触れた上質のものを基準としている、いまやソンなものは無いに等しいと分かっていても、)も含めて判断するので、我々の水準はめっぽう高いのだと思います、二人してうなづくものはソウありはしません、

今回は、、、「最上」といえるのではないでしょうか、



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エレファント」はジンバブエやナミビア辺りの我々の知らない遠いアフリカ大陸からやって来る、この熱帯のエキゾッチクな革は天然のもので、なかなか手に入らないのは、その流通が複雑な規制のなかで行われていることにもあります、


この「規制」によって、事実上、象革は一時、完全にその姿を消しました、
いま手に入るものは、数年に一度、個体保護のために間引きされるものに限られていて、それもいつ市場に現れるかは予測もできない状態にあります、
さらにこの革が完全に姿を消していた間に専門のタンナーもその設備を廃棄してしまい、終にはジンバブエにただ一軒のタンナーを残すのみとなりました、いまや「幻の革」なのです、


しかも、天然のものなので、厳密にいえば、この革は一枚づつ「質」が異なります、

象革はあれだけの巨体だから、背、腹、顔、、と細かく切り分けられていきます、そして、その部分によって皺の入り方も、質も変わってくる、つまり、一枚、一枚の個体差が極めて激しいのです、とくに文様の入り方は一枚として同じものはない、何が「最上質」なのかという価値感をハッキリと持っていないと判断ができません、

この象革をめぐる状況が、納得できる極上のものを探し当てるとなると、至難の技といえるものにしています、


そういう意味では、クロコダイルよりもはるかに、最上のものを入手するのは困難極まりないといえます、



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検証してみると、象革は耐久性、耐水性(そう、雨にも強い、だから私はカントリーシューズに選んだ)に優れ、しかも、ブラシィングするだけで、永年の使用にもほとんど老化というのが見られない、これは自分で試しているから実感できます、(私は20年以上に渡って愛用のエレファントのカントリーシューズをかなり酷使していますが、色が枯れて良い具合になったぐらいで全く出来上がったときの堅牢さを保ち続けています、そして意外に柔らかい、極上のものはしっかりとしていて柔らかく、履き心地が良いと思います、)

まさに、「100年素材」に相応しい稀な素材で、多分、愛情をかけてやれば、本気で100年を越えて生き続ける「超100年素材」だと思います、





古のヨーロッパでは、この革はその頑丈さと、クロコやカーフと違って傷つきにくく、半永久的に贅沢な表情を保つことから珍重され、マレット(トランクメーカー)たちはこぞって、上流階級に向けて手の込んだ工芸品のような旅行トランクやバッグを特別製作しました、


一枚として同じ模様のない「エレファント」は、「高貴の証」として極く選ばれた貴族たちに愛されました、文献によると「幸せを呼ぶ革」として珍重されたともいいます、極めて贅沢な素材であったことはいまと変わりありません、



個人的には「エレファント」には、「Voyage(旅行)」という言葉がかぶさってきます、それは、我が家の納戸をひっくり返していたとき、某有名トランクメーカーのイニシャル入りの象革の旅行トランクを見つけたからです、大昔は象革に手刷りでプリントしていたのでしょうか、

ノスタルジックで優雅な旅を思わせる感触、、、極上のエレファントは、驚くほど「ソフト」な滑らかさを持っています、



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そう、極上の象革は、目が詰まっていて優しい手触りをしています、今回、手にいれた「エレファント」は、大久保にいわせると、「高級な絨毯のようで、思わず頬擦りしたくなる、」という、その表現にその質の上質と、希少性があります、


「エレファント」は通常、手に入れられる革の大部分は「腹」ですが、私が愛用しているエレファントのカントリーシューズは「」の革を使って仕立てられています、「耳」は稀少な象のなかでも、もっと数が少なく貴重で、皺が非常に細かく刻まれていて、やはり「思わず頬擦りしたくなる」優しい柔らかさを持っています、

今回、手にいれた「エレファント」がどの部位なのかは、残念ながら表示がないので定かには云えませんが、その極上の質とともに、刻まれた皺の文様が良いと思います、


皺は少し深めで、抉られた皺と表面が織り成す天然の文様が赴き深い、
そして「エレファント」の色は、、、
「ニコチン」と呼ばれる濃い目の「タバコブラウン」が最もクラッシックとされています、この色は、かなり年数が必要ですが愛用し続けると素敵に赴きのある枯れた色へと変身していきます、多分、スーツやジャケットにも合わせやすいのではないかと思います、


ビスポークだからスタイルはお好みですが、せっかくの極上の「エレファント」だから、その表情を生かすためにも靴のフロントはシンプルなデザインにされることをお勧めします、



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超100年素材
極上エレファント(”ニコチン”) クラッシックビスポークシューズ 」 
(六義流の極めて丁寧なパーソナルラストメイキングと仮縫いつき、)


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by bespokerikughi | 2009-05-02 13:10 | 1.「最上のエレファント」